アメリカでは新しい医療技術が急速に普及し、製薬会社や医療機器メーカー、積極的な医師にとっては利益率が高くなるが、新技術が優れているとはかぎらないし、きわめて高価である。 これに関連する現象として、診療報酬の高い治療法が好まれ、同じように効果ままでのようなペースではないにしろ、住宅やアジア製の家電製品への支出を増やしていけるだろう。
最後に,アメリカではこれまで、雇い主が支給する健康保険で医療費を負担する仕組みをとってきたが、この仕組みはあきらかに破綻している。 GDPに占める医療費の比率が上昇を続けているので、労働市場の下半分では健康保険を提供できなくなっており、労働者が自分で保険料を支払うことはできない。
医療は法的な意味で国民の権利ではないが、アメリカ以外の先進国ではすべて、文化的な生活の重要な部分として、国民皆保険を提供している。 過去20年ほどに国富が大幅に増加したことを考えれば、健康保険で先進国の基準に達していないのは恥与が必要である。
どのような解決策がありうるか、ここで論じようとは思わないが、政府の拡大をともなうのは避けがたい。 政府が関与すべきかどうかについて、イデオロギー論争を戦わせるのはやめて、があり、コストが低い治療法があっても無視される傾向がはっきりしている。
コンピューター技術の利用で世界を主導する国としては衝撃の事実だが、アメリカは先進国のなかで、医療管理へのコンピューターの利用がもっとも遅れている。 地元の開業医や診療所では、カルテの電子化がどの国よりも遅れているし、処方菱の発行、検査結果や病院の診療記録の受け取りの電子化もどの国よりも遅れている。
医療がごく普通の市場であれば、少数の大企業が医師の全員を一雇い、中小企業を追い出して、巨大なデータベースとデータ交換のシステムを構築しているはずである。 だが医療はそういう市場ではない。
だから、政府の関シカゴ学派の経済学では、政府による資源配分はつねに生産性の低下をもたらすというのが信条になっている。 これをつねに成り立つ命題として考えるのであれば、あきらかに間違っている。
連邦政府はたとえば、半導体産業とインターネットに巨額の資金を投資しており、その結果、経済が発展したのはあきらかである。 建国以来、運河や鉄道、幹線道路、空港などのインフラへの投資は全体的にみて、高いリターンを生み出している。

19世紀にイギリス議会の委員会は、アメリカでは公教育への投資が多い点が重要な競争上の優位になっていると論じた。 要するに、政府の支出が生産的かどうかは、何に支出するかによるのである。

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